ヨガの教えには、アシュタンガ(八支則)といって
8つの段階、行法があります。
その冒頭にあるヤマ、ニヤマは日常生活や社会的な行動規範について書かれており、
それが出来てからアーサナ、つまりヨガのポーズを練習できる、と書かれています。
普段の生活を整えた上でヨガができるということは、いかに日常生活が大切なのかをヨガ哲学は説いています。
今日は一段階目、【ヤマ】について詳しくお話しします。
ヨガはサンスクリット語、という現在使われていない言葉を使うので、聞き慣れない単語がたくさん出てくると思います。
全て分かろうとする必要は無いですからね^_^
ヤマ=禁戒
日常生活で行ってはいけない行動・心得のことで5つあります。
1.アヒムサ:非暴力、不殺生
いかなる人や動物、生きとし生けるものに対して暴力をふるってはいけません、という教え。
身体的な暴力はもちろん、言葉や、思考も含まれます。
対相手の事だけでなく、自分も含まれるので、「自分なんてダメダメだ」と自分を傷つける思考も辞めなさい、と言われています。
夜更かしや暴飲暴食も、自分の身体を傷つけることになるので、もしする事が多い人は控えましょうね。
動物の毛皮や革を使う事も、この教えに反します。
アヒムサは、自分を大切にする、という語源からきているそうです!
これを徹底できると「周りとの争いがなくなる」と言われています。
2.サティヤ:嘘をつかない、正直
自分の利益だけを考えて誰かを陥れるための嘘はつかない、相手の為を思った嘘も辞めなさい、という教えです。
誰かを傷つけようという嘘はもってのほかですが、相手を気遣った嘘もつかない方がいいんですね。
例えば「私太ったと思う?」と友達に聞かれたとき、内心「たしかに太ったかも」と思っていても、「そうだね、太ったね」と正直に言えますか?
「そんなことないと思うよ」と答えることありませんか?
これって自分の心に嘘をついていることになるんですね。
しかも相手の為を思ってついた嘘だとしても、もしそれが”嘘”だという事を友達が知ってしまったらどうでしょうか?
友達だと思ってたのに嘘つかれた、と人間関係にヒビが入るかもしれません。
そういう時は黙るのが1番、と説かれています。
あとは話を反らすのも手です。
自分の心と行動を一致させたいんですね。
これってかなり難しいことなんです。
身体が疲れていて、心ももう休みたいと思っていても、上司に仕事をふられたからやらなきゃ、とか、子供が起きてきたから面倒見なきゃ、とか。
身体と心がチグハグになってしまう場面ってたくさんあるんですね。
でもなるべく心と行動を一致させることで、その人の行為は「真実」になると言われています。
嘘をついている人よりも正直に生きている人の方が願いが叶いやすそうなのは、何となくイメージできるかと思います。
3.アスティヤ:不盗
他人の物や時間、信頼や利益を盗んではいけない、自己中心的な行動はやめなさい、という教えです。
約束の時間に遅刻したり、相手の話をさえぎって自分の話ばかりすることもアスティヤの教えに反します。
名声や富などは増えることもあれば、減ることもあります。
そうやって常に変化するものに左右せず、執着しないこと、
【足るを知る】ことができれば他人の物を奪おうとする心は治められそうですよね。
もしアスティヤが徹底できると、逆に全ての宝が集まる、といわれています。
奪うよりも与えるような存在になりたいですね。
ちなみに欲望に従って動いている人は「人ではない」とヨガ哲学では説かれています。動物、なんです。
何かのために動けて初めて「人間になれる」と言われています。
例えばサスティナブルな生活、環境を考えた生活をするのもいいです。
ぜひみんなで人間になりましょう(笑)
4.ブラフマチャリヤ:禁欲
元々は性欲をコントロールする、というところからエネルギーを無駄遣いせず、生涯を独身で過ごすことを推奨していました。
現代では、パートナー以外とむやみやたらに性的な関係をもたないこと、
自分の欲を満たすことにばかりに捉われないこと、とされています。
エネルギーは必要なところに充てて必要な分だけ使うことが、活力となるといわれています。
5.アパリグラハ:不貪
必要以上に物を抱え込まない、という教え。
最近のミニマリスト、という考え方と似ているところがありますね。
必要以上に物をもつと、悩む時間が増えます。
手に入れたことで一瞬は満足感は得られますが、次から次へと欲が湧いてくるんですね。
ブランド物を購入する際、そんな感覚がありませんか?
新作が出て気にいって購入したとしても、また新作が出たら購入してしまう…
それがエンドレスで満たされることがない…
何かを手に入れることで満たされる幸せって、簡単に揺らぐんですよね。
すでに持っているものに目を向けられたら、何かに執着して不安になることも嫉妬や憎しみという感情も抑えられそうですよね。
アパリグラハの教えが徹底できると、過去生と未来の知識を得るといわれています。
以上、この5つがヨガ哲学での控えたほうがいい行動でした。
次回は二段階目の「ニヤマ」やったほうがいい行動についてお話します。
まずは日常生活から取り入れられそうなところは、行動してみてくださいね^^